金丸良子教授による公開講演会が開催されました!

2013/12/18

テーマは「中央アジア・キルギス族の世界」

 本学外国語学部の金丸良子教授が、平成25年11月30日に麗澤大学生涯教育プラザ1階のプラザホールにて、「中央アジア・キルギス族の世界」と題して講演し、58名の方が参加し熱心に聴講しました。

 金丸教授による公開講演会と展示会は、麗澤オープンカレッジが開校した平成18年から始まり、通算16回目を数え、今回は、シルクロードの中枢にあたる中央アジア・キルギス生活文化の一端が紹介されました。金丸教授が現地で撮影された貴重なスライド写真や関連書籍等が多数公開され、非常に興味深い講演会となりました。
 まず、金丸教授は、中央アジアの地図からキルギス周辺の地理について解説されました。また、出自に謎が多いとされる中国の詩人・李白の出身地がキルギスであるという説を紹介され、李白が金髪碧眼であったかもしれない可能性を指摘し、聴講生の好奇心をかき立てました。
 次に、キルギスの地理や気候が、隣国のカザフスタンや中国とは異なり、国内に砂漠は存在せず、豊かな自然を有し、比較的温暖な気候に恵まれていること、パミール高原の入口、ビシュケクの年間降水量は450mmに達することなどについて解説されました。また、民族については、2009年の調査によれば、総人口550万人のうち、キルギス人が70.9%、ウズベク人が14.3%、ロシア人が7.8%、その他が7%の多民族国家であるとのこと、キルギス語は国家語、ロシア語は公用語と制定されていること、1999年の調査によると、キルギス語は65.2%、ウズベク語が14.8%、ロシア語が14.0%、その他が6.1%で使用されていると解説されました。
 次に、中央アジアの探検史について触れ、ロシアのセミョーノフ、ブルジョワスキー、ドイツのリヒトホーヘンらは、地理学者あるいは地理学を学習した探検家であったこと、また、旧ソ連を構成していたキルギスには民族資料館が遺されており、貴重な資料が保存されているとも述べられました。また、「鷹刈りは、遊牧騎馬民族であるキルギスの人々にとっては軍人訓練あるいはスポーツの一種。現在、観光資源としての展開が検討されている。隣国のカザフスタンでは全長2メートルにもなるイヌワシ狩りが行われていて興味深い」と述べられました。
 最後に、「"シルクロード"と聞くと仏教遺跡をイメージする方が多いかもしれないが、実際のシルクロードはイスラム教の影響が色濃い。日本ではシルクロードを理解するために中国の歴史文献に依拠してきた経緯があるが、イメージに偏らず、地理を学んで、現地の実際を知る必要がある」と締めくくられました。

 講演会終了後は、聴講した多くの方々が金丸教授とともに展示コーナーを見学しました。展示コーナーには、金丸教授が現地で製作を依頼されたフエルト製のユルタや独特のパターンで織られた敷物、民族衣装に帽子や手袋、大きなサモワール(お湯を沸かすためのヤカンの一種)、パンに魚の干物まで、現地の生活が伝わる品々が展示されていました。聴講した方々からは「今回初めてこの講演会に参加したが、非常に興味深かった。次回もぜひ参加したい」、「フエルト製のユルタに暖かみを感じた」、「キルギスには以前行ったことがあったが、先生の話を聞いて理解が深まった」、「シルクロードに興味がある。ぜひキルギスに行ってみたい」等の声が寄せられました。聴講生の方々は、これまで伺い知る機会の少なかったキルギスの人々の生活の一端にふれることができたのではないでしょうか。
なお、来年度前期の講演会・展示会は「上海・老照片(オールド写真)の世界」が予定されています。通年・前期の生涯学習講座のご案内は2月中旬頃を予定しています。楽しみにお待ちください。

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