土曜日の午前、一限目が終わると、教室から受講生がどっとあふれ出してきます。開放感たっぷりのエントランスが、このときだけは人で埋まります。
歳の離れた受講生同士が、熱心に話し合いながら歩いていたり、その横を足早に通り過ぎて次の教室に駆け込んでいく人もいます。皆さんは、職業も年齢も服装もさまざま。そこに流れる空気はまさに「学び舎」です。
突然、誰かを呼び止める大きな声がしました。玄関から入ってきた受講生に、ホワイエから出てきたもう一人の受講生が声をかけたのです。そして、自分のTシャツを指さしてにこやかに話をし始めました。そこにはある国の国旗がプリントされていました。まさに、同級生という感じです。
ふと教室の中を見ると、講師のまわりに大勢の受講生が集まっていました。きっと、あれこれと質問をしているのでしょう。学ぶ楽しさが自然に伝わってくるようです。

授業が始まると、プラザの中は静けさに包まれます。教室の中では、それぞれのペースで授業が進んでいます。ROCKの教室はガラス張りなので、教室の様子は外から見ても手に取るようにわかります。
きれいに並んだ机に座って、ただ講師の話を聴き続けるという印象は、あまりありません。講師を中心に扇形に机を並べている教室があります。机をはさんで受講生が二人セットで向き合っている教室もあります。実技を交えた授業もあれば、講師と意見を交換し合う授業もあります。中には、講師が受講生の隣りにしゃがみこんで、その話を熱心に聞いている姿も見られます。

教室の中は、うなづいている顔、笑っている顔でいっぱいです。皆さん、学びたくて来てるんだなということが、よくわかります。講師もなんだかイキイキしています。普段は大学で教鞭を執る講師陣も、ROCKではひと味違う雰囲気を感じているようです。
教える側も教わる側も、学びたくて教えたくてここに来ています。それぞれがやりたいこと、やってほしいことが自然にひとつになっている……。そんな空気があるんですね。前向きな姿勢は、高い出席率にも現れています。

ROCKの特色は、なんといっても現職の大学の先生が講師を務めるということです。そのことについて、あるスタッフがこんなことを言っていました。
「例えば語学の場合、その国の言語を使えるようになるだけなら、他にも選択肢はあると思うんです。でも、言葉ってそれだけじゃないんですよね。その背景には文化や社会情勢があるじゃないですか。ここでは、そういう面も含めた、深みのある学びができるんです。
それから経済もおもしろいですよ。経済って、とても範囲が広いんです。経済と経営は違うものだし、国によっても経済は違います。焦点の合わせ方で、どんどん幅が広がるんですよね。

しかも、ちょっとした質問を講師にしてみると、驚くほどいろんなことを話してくれるんです。
例えば、実際にこれまで仕事をやってきたけれど、それを学問という世界でとらえたらどうなるのか？　そんな問題意識を持って、講師にいろいろと質問をされる方もいらっしゃいます。社会経験がある方ほど、こうした点に興味を持たれるし、大学の先生が講師を務めることの価値をよくわかっていらっしゃるようです」
ROCKという場所は、単に講義を聴くだけでなく、講師と出会う場でもあるんですね。

では、ROCKで実際に学んでいる人たちは、どんな印象をもっているのでしょうか。お昼休みの時間にホワイエに足を運んで、受講生の皆さんに少しだけお話をお伺いしました。
ホワイエでは、受講生達は思い思いに時間を過ごしています。予習や復習をする人もいれば、グループでおしゃべりしている人たちもいます。今回は、そんなグループの一つに声をかけてみました。