ROCKの学習コーディネートで所 功 客員教授が講演

2013/7/25

テーマ「日本のソフトパワー再発見」

 平成25年7月23日、麗澤大学かえで棟1503教室において、公益財団法人モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授の所 功 教授が、「日本のソフトパワー再発見」と題して講演を行いました。
 この講演は、千葉県生涯大学校・柏南交友会からの委託により、麗澤オープンカレッジ(ROCK)の学習コーディネートとして開催されたものです。当日は200名を超える参加者があり、日本の伝統文化の奥深さについて学ばれ、会場は熱気に包まれました。

 所教授は、まずこの講演会のテーマである「ソフトパワー」について言及されました。そのテーマの元になった一冊の本『日本のソフトパワー<本物の「復興」が世界を動かす>』(植村和秀著)を紹介されました。所教授は、著者の植村氏と京都産業大学でともに教鞭をとってこられた間柄で、この本の内容に非常に共感されたたと紹介されました。
 所教授は、ソフトパワーの意味について、「ソフトパワーというのは、人間でいえば、人柄の魅力と信用のようなもので、国家ならば国柄の魅力や信用によって動かすことです」と解説されました。
 さらに「国柄というのは、先人の美徳と悪徳を理解しつつ現在の人間がそれらを読み直し、未来に向って提案していくもので、国柄を作り上げていくことが今の課題なのです」と聴講者にわかりやすく説明を加えられました。

 次に所教授は、「日本のソフトパワー戦略」として、国策にとらわれない庶民文化(俳句・浮世絵・アニメ・カラオケ・スシ・ラーメン等)と、環境立国やクールジャパン等、政府の方針として推し進める二つの側面から、世界に誇れる日本文化をもっと発信する必要があると解説されました。また「日本のソフトパワーの魅力を高めて「世界のヘルプキー」(頼もしい助け役)になることが必要ではないか」と強調されました。

 さらに所教授は、世界文化遺産に指定された富士山を例に出され、「世界文化遺産に指定されるために、富士山の価値を証明したテーマは"信仰の対象と芸術の源泉"です。日本人は古来より、自然と人間との共生と、互助の精神を大切にしてきた民族です」と説明されました。
 所教授は現在の国策についても触れられ、「民主政治や貨幣経済についても、成長は無限には続クものではありません。成長よりも成熟が大切で、現代社会の価値観を見直す必要があります」と言及されました。

 最後に所教授は、今上天皇が11歳の頃、昭和20年8月15日の終戦の日に書かれた御作文「新日本の建設」を紹介されました。この作文では「今度からは・・・どんな苦しさにもいたへしのんで行けるだけのねばり強さを養ひ・・・日本を導いて行かなければならない」と述べられていると紹介されました。
 また、皇后陛下が平成10年に講演された「子供時代の読書の思い出」を紹介されました。皇后陛下が幼い頃に父からもらった神話伝説の本を読まれ、夫倭建命(ヤマトタケル)のために入水した妃である弟橘(オトタチバナ)姫の歌に感銘され、「愛と犠牲という二つのものが、私の中で最も近いものとして、むしろ一つのものとして感じられた」と述べられています。
 所教授は、「こうした天皇皇后両陛下を戴いている日本国は、最大のソフトパワーといえます」と述べられ、盛大な拍手とともに講演を締めくくられました。

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