ROCKの学習コーディネートで成相 修 教授が講演

2013/3/27

テーマ「アベノミクスは日本を救うか?」

 平成25年3月25日、麗澤大学かえで棟1603教室において、本学の成相 修 教授(経済学部教授・麗澤オープンカレッジ長)が、「アベノミクスは日本を救うか?」と題して講演を行いました。
 この講演は、千葉県生涯大学校・柏南交友会からの委託により、麗澤オープンカレッジ(ROCK)の学習コーディネートとして開催されたものです。今回は200名にのぼる参加者があり会場は超満員となりました。会場は熱気に包まれ、参加された皆さんは、日本経済の行く末について真剣に学ばれました。

 成相教授は、アベノミクスと呼ばれる安倍政権の経済政策について、Q&A方式で解説。非常に分かりやすく展開されました。
 成相教授は、「大規模な金融緩和、2%のインフレ目標を掲げても、景気が回復するという単純な論理にはならない。また、インフレの期待が金利の上昇を招き、ゆうちょ銀行のように資産の大部分を国債に依存する銀行は大きな損失をこうもるおそれがある」と指摘されました。

 さらに教授は、吉川洋著『デフレーション―"日本の慢性病"の全貌を解明する』(日本経済新聞)を紹介。グローバル化する競争の中で、円高傾向が強まり、日本企業はコストダウンを図るために「プロセス・イノベーション」に終始したことが、日本経済が停滞した理由の一つである、と解説されました。「プロセス・イノベーション」とは、生産工程における技術革新のことで、新しい製品を開発するよりも、生産コストを抑え既存の製品を1円でも安く売ることに重点を置いたことをさします。
 成相教授は、企業の成長、日本経済の成長のためには、「プロセス・イノベーション」ではなく、「プロダクト・イノベーション」が必要であるが、現在の金融緩和ではデフレ脱却は厳しいのではないかと警鐘を鳴らされました。
 「プロダクト・イノベーション」とは、革新的な新製品を開発して差別化を図ることで、日本もアップル社のiPadやiPhoneといった新しい需要を追求し、オールジャパンで「ものづくり大国」の威信にかけて追求しなければ、真の経済発展には繋がらないと説明されました。

 成相教授は、「金融緩和や大規模な公共投資等の政策により、2013年度は景気は上昇すると思われる。しかし、5年後・10年後の"日本経済の見取り図"を国民に示されない場合は、景気回復は短命に終わる可能性がある」と警戒されました。
 最後に、「安倍政権は社会保障に関する政策を打ち出すと、国民に不安を与えかねないために、参院選前には国民に公表することはできないジレンマに陥っている。安倍総理はどこまで将来を見据えて政策を行なっているか、今後しっかりと見定めていかなければならない」と発表され、盛大な拍手とともに講演会が終了いたしました。

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