金丸良子教授による公開講演会「中国 伝統家具の世界」が開催されました

本学外国語学部の金丸良子教授が、平成27年11月28日に麗澤大学生涯教育プラザ1階のプラザホールにて、「中国 伝統家具の世界」と題して講演し、40名の方が聴講しました。
金丸教授による公開講演会と展示会は、麗澤オープンカレッジが開校した平成18年から始まり、今回で通算20回目を迎えました。
中国の伝統的な木製家具は、「明清家具」と称され、その洗練された美しさによって清末期から西洋人の心を惹きつけています。自然の木目の美しさ、象嵌(ぞうがん)・蒔絵・彩色などの装飾のテクニックを駆使し、西洋・中国の両方のスタイルが混合した形へと変化した過程などについて紹介されました。また、金丸教授が収集された専門書籍の数々もあわせて公開され、非常に興味深い講演会となりました。



講演会の冒頭、金丸教授は自身の経歴と、これまでの展示会の主題などについてかいつまんで述べられ、今回、展示している家具の大半は日本のヤフーオークションで安価に入手したこと、中国で購入してきたミニチュア家具が本物よりも高価だったなどと話され、会場をわかせました。
次に金丸教授は、北京や上海といった大都市では、オリンピックや万博を契機に旧市街の再開発が進み、高層ビルが林立する街へと変貌を遂げていく中、胡同(フートン)や上里弄(リーロン)の狭い路地裏で時代の波に翻弄されながら生きる人々を追ったドキュメンタリー番組を紹介され、中国の庶民の生活の変化についてふれられました。そして、人々の生活様式の変化にあわせて変遷を遂げてきた、民具の歴史、用材の木質、種類などについて、資料を基に解説されました。
最後に金丸教授は、一葉の写真作品「21歳の嫁の手」(出所:『ある山村・農民』南良和著)について話をされました。それは、1950年代から1960年代にかけて埼玉県秩父地域で失われていく日本の農村文化を撮り続けた写真家の作品で、農家に嫁いだ、まだ若い娘さんの手がまるで年老いた女性の手の様に荒れていて、農村の過酷な暮らしを物語っている、というものでした。金丸教授は、大学生であった1970年代初頭、フィールドワークで国内各地を訪ね歩いた際に、日本では高度経済成長期を経て人々の暮らしがすっかり変わっており、その変化の過程に立ち会えなかった無念さについてふれられ、中国の人々の暮らしの変化の過程にはまだ間に合う、ぜひ立ち会いたいとの思いから、生活に根ざした物の収集をとおして民具の考察を試みるに至ったということでした。




講演会終了後、聴講した方々は、金丸教授が収集された伝統家具が展示されている展示コーナーを見学しました。金丸教授は展示コーナーを歩き回りながら、展示品の解説をされ、聴講生からの質問に熱心に答えられました。聴講した方々からは、「毎回この講演会を楽しみにしている」、「金丸先生から直接、話をうかがって中国の歴史や人々に対する理解が深まった」等の声が寄せられました。

中国の伝統家具に関して、金丸教授のサイト内「中国の民具」に解説をまとめられています。あわせて、ぜひご覧ください。
<金丸良子教授の研究室>

なお、来年度の前期の金丸教授の公開講演会は「ベトナム・ドンホー版画の世界」が予定されています。皆様のお越しをお待ちしています!

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