ROCK特別講演会にて兼原 信克氏にご講演いただきました
2025年度前期第3回は、7月12日(土)に「激動の国際情勢と日本」と題して、兼原 信克(かねはらのぶかつ)氏(麗澤大学 教授、笹川平和財団 常務理事)に、ご講演いただきました。
兼原氏の講演は、20世紀後半から現在に至る国際社会の大きな変容、特に中国、ロシア、そして台湾の動向に焦点を当てたものでした。
これまでの自由主義的な国際秩序がアジア諸国の独立と経済発展を促し、日本もその中で重要な役割を果たしてきたことが強調されました。しかしながら、近年、中国は急速に台頭し、その経済規模は日本のそれを凌駕。軍事費も増大の一途を辿っています。また、インドの目覚ましい成長は「インドの世紀」の到来を予感させ、G7の経済規模が世界全体の5割を切るなど、これまでの国際社会のパワーバランスは大きく変化している現状が示されました。
講演では、自由貿易が新興国の成長を加速させる一方で、先進国の産業空洞化や移民問題を惹き起こすといった課題も指摘されました。特に、トランプ氏に代表される保護主義的な動きは、国際協調を阻害し、同盟国との関係にも亀裂を生じさせる可能性が示唆されています。
中国の南シナ海における強硬な姿勢や、台湾への圧力が強まる中、日本が国際社会においてどのような役割を果たすべきか、そして安全保障と経済の両面でいかに自国の利益を守っていくかが喫緊の課題であることが示され、参加者は国際情勢への理解を深めました。