ROCK特別講演会にて田北真樹子氏にご講演いただきました
前期 第3回は、7月20日(土)に「月刊誌編集長を経験して見えた日本の姿」と題して、田北 真樹子(たきた まきこ)氏(産経新聞編集委員室長兼特任編集長)に、ご講演いただきました。当日は、朝から学園の蝉の声が盛んに響き、本格的な夏の到来を感じさせる、会場には178名の方々が集まりました。
はじめに、新聞記者・編集者としての自身の経歴について紹介され、月刊『正論』編集長時代の5年3ヶ月、創刊号(1973年10月)で示された問題意識や「おもねらない姿勢」を常に念頭に置き、他の雑誌がやらないことをやっていくことを使命としてきたこと、時事の短期的な事象に捉われず、それが過去・現在・将来に通底する大きな流れの中でどのような意味があるのか読者に提示できるような紙面を意識して作られてきたことについてお話しされました。また、自身が記者時代から問題意識として持ち続けてこられた「日本における国防意識」について触れられ、編集長として最後に手掛けた『正論』8月号での織田邦男氏による自衛隊殉職者の論考は、依頼した側としても大変感銘を受ける内容であり、達成感が非常にあったと述べられました。
さらには、日本を取り巻く安全保障環境の厳しい変化を受けて自衛隊への負荷が増大しているが、自衛隊の不祥事や殉職者の問題に対する表面的なマスコミ報道が不要な誤解を招いており、本当に国のためになる報道とは何か、しっかり考えるべきであると強く訴えられました。
続いて、日本の政界にも話は及び、永田町の流儀が壊れてキーパーソン不在となっている現在の状況について、新聞記者・『正論』編集長として多くの議員や官僚と接してきた豊富な経験を踏まえ、9月の自民党総裁選も視野に入れながら、生々しくも深い考察を示されました。
最後に、憲法改正に対する自身の強い思いを述べられ、今後望まれるリーダーは、ポーズではなく憲法改正の段取り、道順をしっかり議論でき、具体的に手続きを描き、進めていける人物である、と説かれました。また、日本人が元々持っていた道徳観や価値観を排除するような動きに対しては歯止めを掛けなければならない、その歯止めとなるのは教育であり、政府も民間も本腰を入れていかなければならないと熱く語られました。
質疑では受講生から多くの質問が寄せられ、政治の現場に至近距離で接してきた田北氏の迫力と説得力に会場が魅了された講演会となりました。